私は現在32歳、製造関係の仕事をしています。数年前に母から「着ないからやる。着ないなら捨てていい」と服らしきものが入った袋をもらいました。特に着るものにこだわりのない私はその時もありがとーと受け取り自分の家に戻りました。そして見てビックリ。中身は一組のパジャマでした。
色がゴールド…なのはまあ良しとして、問題はそのパジャマの素材…そう、100%シルクだったのです。生まれてこの方シルクなど小物でも持った事のない私ですが、シルクの扱いの難しさについては知っていました。ただでさえずぼらで普通の洗濯ですら面倒くさがる私になんてものを…おそらく母も誰かからもらったのでしょう。
自分では着ないし、だからと言って捨てるには忍びない為私にお鉢が回ってきたのだろうと思いました。生地を触ると流石の肌触り!薄くてさらさらで、でも頼りなさはなく、流石に絹は違うなーと感動しきり。もうすぐ夏になろうかという時期でしたので、蒸し暑い夜にこれを着て寝たらさぞ心地よいだろうなあ(母は「シルクは一年中着られるのよ!」と言っていました。夏涼しく冬暖かいんだとか)…でも洗濯がなあ…と結局その年は着ませんでした。
それからしばらくして存在を思い出し、やっぱり折角だし着よう!と一念発起し次の夏の時期に着用しました。知ってはいたけどやっぱり気持ちがいい。寝汗もしっかり吸収してくれて、それどころか裸でいるより涼しい気がする。暑さに弱い私にはとてもありがたいものでした。
さて、服は着れば汚れるもの。楽あれば苦あり、恐怖の洗濯のお時間です。ちょうど当時の仕事の関係で洗濯の勉強をしていて、その時シルクの扱いも習っていたためそのテキストを使用して自分で洗濯を行いました。基本として手洗いで、ぬるま湯を使用し、桶にぬるま湯と中性洗剤をいれて浸け置きをする。何回かに分けてすすぎ、ゆっくり静かに絞って形を整え、陰干しを行う。乾いたらあて布をしてアイロンを掛ける。
洗うのはテキスト通りにやりました。もともとの性格か形を整える際きちんとシワを伸ばさなかったらしく若干シワになってしまいましたが(汗)アイロンも所持していなかったためそのまま…しかし肌触りは失われておりませんでしたので私としては満足でした。
その後2回くらいは同じように洗濯していました。しかしその後仕事が忙しくなり、なかなか時間が取れず、汗を吸ったそのパジャマをなかなか洗えずにいたのです。元々が面倒くさがりな私は、とうとう洗濯機を使って洗ってしまおうと考えました。
肌触りが多少悪くなってしまうかもしれないけど、汚れたままで何日も放っておく事のほうが問題がある気がしたのです。しかし流石に普通の洗濯物と一緒に洗おうとは思いませんでしたので、パジャマのみを洗濯ネットに入れて洗濯機の中へ入れると、その中へ中性洗剤とぬるま湯を合わせたものを入れました。
水流を一番弱くし、少しでも手洗いに近い状態に持って行きスタート。賢明な方ならもうお分かりでしょうが、結果は散々なものでした。どれだけ引っ張って伸ばそうにもちりめんのように細かいシワがくっきり出てしまい、生地の感触は言うまでもなく雲泥の差…よく考えれば分かる話ですが、洗うときだけぬるま湯でも自動なら濯ぎは水なんだよなあ…自分の思い至らなさにがっかりした記憶があります。色もゴールドからレモンクリーム色にランクダウンしてました。
それでもパジャマとして着れなくなったわけではないので、しばらくは普通にパジャマとして使用していました。洗濯もその頃には普通のものと一緒に洗濯機で回していました。
冬になり冬用のパジャマを着るようになってタンスの奥にしまいこんだままになっていたものを、昨年処分しました。
今になってもっと丁寧に扱えば…その当時たまたま勉強していたから結果的に自宅で洗って駄目にしてしまったけど、知識がなく大人しくドライクリーニングにでも出していれば一生着られたかもしれないのにな~と未練がましく思います。今後は扱いの難しい生地の服が手に入るようなことがあれば、専門の業者さんに任せようと思います。